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「四国の料理は貧乏くさい」秋田県・佐竹敬久知事のトンデモ発言から見える地方政治の根本課題|ニフティニュース


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秋田県の佐竹敬久知事が四国地方の料理について「貧乏くさい」などと述べ、批判を集めている。神戸学院大学の鈴木洋仁准教授は「佐竹知事は、これまでにも耳を疑うような失言が多く、言葉をなりわいとする政治家として不適格なのではないかと疑わせる。一方、問題発言や不祥事が発生したときにしか話題にならない地方政治の現状には課題がある」という――。■秋田・佐竹知事の「貧乏くさい」発言

「貧乏くさいんです」

この放言を批判されている秋田県の佐竹知事は、何を指して、こう言ったのだろうか?

答えは、発言の直前にある。

「メインディッシュが鉄板で、誰が考えてもステーキです。ふたを開けたらじゃこ天です(*1)」

「じゃこ天」である。

じゃこ天の「天」は、「天ぷら」を指す。農林水産省が「次世代に伝えたい大切な味」を紹介する「うちの郷土料理」は、愛媛県南西部の八幡浜市や宇和島市では、魚のすり身の揚げ物を「天ぷら」と呼ぶ、と伝えている。

では、「じゃこ」とは何か?

底引き網でとれたいろいろな種類の魚(雑魚)でつくられていたため、「ざこ天」と名付けられ、それが変化して「じゃこ天」になったという説や、原料のはらんぼ(ほたるじゃこ)に由来して「じゃこ天」と呼ばれるようになったという説もある(*2)。

熱々の鉄板のふたを開けてみたら、主菜として「ざこ」とまとめられるような小魚の揚げ物が出てくる。落胆する佐竹知事の顔を思い浮かべる人がいるかもしれない。

■「事実だもの」「謝らない」

問題は、発言後の態度にある。

発言直後に記者から問われた際に、「『事実だもの』と述べ、『謝らない』との考えを示していた」と、地元紙の秋田魁新報は伝えている(*3)。

同紙のオンライン版での記事が拡散されるなどしたため、翌々日の25日の午前10時半から秋田県庁で記者会見を開き、「四国についての発言は大変不穏当、不見識だった。心からおわびを申し上げたい」と謝罪している。

秋田市のギフトショップで、じゃこ天が「飛ぶように売れている」といった、微笑ましいニュース(*4)もあるものの、秋田魁新報が指摘するように、佐竹知事は、これまでにも耳を疑うような発言が多く、反省をしているとは言えない。そこに今回の真の問題があるのではないか。

■繰り返される佐竹知事の「問題発言」

「硬い。値段は(一般の鶏肉の)3倍だが3倍うまいかは分からない」

秋田県の名産品・比内地鶏を評した、2022年8月26日の佐竹知事の発言である(*5)。

肉が「硬い」としても、あるいは、3倍も美味しくなかったとしても、それは、個人の感想として、まだ許されるかもしれない。

ただ、これが、豪雨で被害を受けた人たちに向けたものだとしたら、どうだろうか? それも、豪雨対策と復興の責任者である県知事の発言としては、いかがなものか?

まったく認められない。

ほかにも、「秋田の人口減の原因はコメだ。コメのウエートが大きいほど人口減は著しい」(2014年5月12日)と言い放ったり、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画をめぐって「私に配備の是非の判断を投げられても困る」と放棄したり、と、枚挙にいとまがない。

実際、秋田魁新報は、今回の「貧乏くさい」発言を含めて16もの「物議を醸した佐竹知事の主な発言」を列挙している。

うっかりしていた、わけでもないだろうし、言い間違えた、とも思われない。

信念とまでは評価できないが、少なくとも、自分の言葉で話しており、だからこそ、言葉をなりわいとする政治家として彼は不適格なのではないか、と疑わせるのである。

佐竹知事だけではない。

ほかの地方自治体の長による「失言」も相次いでいる。

■東近江市長「不登校の大半は親の責任だ」

滋賀県東近江市の小椋正清市長は、10月17日、同県で開かれた、滋賀県首長会議で、「不登校の大半は親の責任だ」などと発言した(*6)。

問題視されたのは、「文部科学省がフリースクールの存在を認めてしまったということに、愕然としている」という部分であり、同県をはじめとする全国のフリースクール関係者から撤回を求められている(*7)。

小椋市長は、この理由について「フリースクールといって、よかれと思ってやることが、国家の根幹を崩してしまうことになりかねないくらいの危機感を持っている」と述べていた(*8)。

彼の持つ「危機感」は、秋田県の佐竹知事にも通じるのではないか。

関係者ばかりか、市議会で追及されたとしても、いや、されればされるほど、みずからの考えを堂々と主張する。小椋市長もまた佐竹知事と同じように「謝罪」はしている。ただし「撤回」には、頑として応じていない。

政治家としての考えは重要であるし、それがなければ資格がない。その考えが、世論を逆なでしたり、SNSで炎上したりしたとしても、有権者から選ばれている以上、簡単に引っ込めてはならない、そうした態度は、十分にありえるだろう。

だとすれば、彼ら地方自治体の長による「放言」や「失言」を、一過性の話題として消費して終わりにしてはならないのではないか。

そうした発言が相次いで報じられている、その現状を再考しなければならない。

■問題があったときに「しか」話題にされない

首長選挙をめぐっては、東京都江東区長選が話題になっている。

今年4月の同区長選で、木村弥生区長(15日付で辞職予定)の陣営が選挙中に投票を呼びかける有料のインターネット広告を流した疑いが持たれている。木村区長が東京地方検察庁特別捜査部の捜査を受けているほか、自民党の柿沢未途衆院議員が、その広告を勧めたことが明らかになり、法務副大臣を辞職した。

本稿では、この事件そのものについては論じないものの「地方政治の困難」という点で、ここまで取り上げてきた問題発言と通底する。

その背景にあるのが、地元マスコミとの歪な関係である。

政治家とマスコミが癒着している、わけでは、まったくない。秋田魁新報は先に見たように佐竹知事に厳しすぎるぐらいに報道しているし、小椋市長への在阪テレビ局の当たりも強い。江東区についても、東京新聞や全国紙の都民版は連日大きく報じている。

では、何が問題なのか。

まさしく、こうした姿勢が地方政治の難しさを象徴しているのである。それは、問題があったときに「しか」話題にされない、その瞬間性にある。SNSで沸騰しなければ、市長や区長はもちろん、仮に県知事の動きであっても、その地域の外には、まったく広がらない。

■地方政治に何が求められるのか

近年では、新聞もテレビもウェブ配信に注力している。

今回の佐竹知事の「放言」も秋田魁新報が「電子版で報道。記事は交流サイト(SNS)上で一気に拡散され」たと、同紙みずから報じている。拡散するには、見出しで人目を引かなければならない。パンチの効いた、派手な文言が必須である。

一連の発言や、区長選挙をめぐる疑惑は、確かに広く知らされるべきであるし、そのために、多くのマスコミ関係者が頭を絞っている。誇張しているわけでも、過小評価しているわけでもない。事実をベースとしてはいるものの、しかし、それゆえにこそ、角度のつけかたとして、「大問題」であるかのような空気がつくられてはいまいか。

「信念」を持った首長たちと、それに対して批判のまなざしをむけるマスコミ、両者の関係は、文字面だけを見れば健全だろう。

地方政治が話題になるのは「問題発言」や不祥事のときに限られつつあるのだとすれば、それは、歪(いびつ)と言わざるを得ない。

けれども、希望はある。

「貧乏くさい」発言をきっかけに、じゃこ天ブースと、秋田のきりたんぽ鍋がイベントで向かい合い、大盛況だったという(*9)。さらに、11月15日には、秋田県と四国4県が東京都内で合同の物産展を開く(*10)。

地方政治にもマスコミにも、こうしたささやかだけれども、みんなに希望を与えられる、きっかけづくりが求められているのではないだろうか。

(*1)「秋田県知事 四国地方の料理『貧乏くさい』発言で謝罪」NHK NEWS WEB、2023年10月25日17時24分配信
(*2)農林水産省「うちの郷土料理 次世代に伝えたい大切な味」
(*3)「知事 追い込まれ陳謝」秋田魁新報、2023年10月26日朝刊
(*4)「知事発言のじゃこ天 秋田のギフトショップで飛ぶように売れる」NHK秋田 NEWS WEB、2023年11月4日16時34分配信
(*5)以下、佐竹知事の発言については、(*3)で挙げた秋田魁新報の記事による。
(*6)「滋賀 東近江市長 フリースクールめぐる発言 謝罪も撤回はせず」NHK NEWS WEB、2023年10月25日12時54分配信
(*7)「東近江市の小椋正清市長に発言撤回を求めて『約3万6000人分の署名』を提出」MBS NEWS 、2023年11月1日19時08分配信
(*8)「『世論とかけ離れている認識はない』フリースクール発言の東近江市長 市議会で改めて持論を展開」関西テレビNEWS、2023年10月31日20時50分配信
(*9)「じゃこ天ブースの向かいに秋田のきりたんぽ鍋が…『貧乏くさい』発言の影響か両ブースは過去再考売り上げの大盛況」TBS NEWS DIG、2023年11月6日18時27分配信
(*10)「『秋田県民』トレンド入り 知事のじゃこ天発言受け愛媛で『爆買い』も 15日都内で合同物産展」日刊スポーツ、2023年11月3日13時16分配信

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鈴木 洋仁(すずき・ひろひと)
神戸学院大学現代社会学部 准教授
1980年東京都生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(社会情報学)。京都大学総合人間学部卒業後、関西テレビ放送、ドワンゴ、国際交流基金、東京大学等を経て現職。専門は、歴史社会学。著書に『「元号」と戦後日本』(青土社)、『「平成」論』(青弓社)、『「三代目」スタディーズ 世代と系図から読む近代日本』(青弓社)など。共著(分担執筆)として、『運動としての大衆文化:協働・ファン・文化工作』(大塚英志編、水声社)、『「明治日本と革命中国」の思想史 近代東アジアにおける「知」とナショナリズムの相互還流』(楊際開、伊東貴之編著、ミネルヴァ書房)などがある。
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(神戸学院大学現代社会学部 准教授 鈴木 洋仁)

]...以下引用元参照
引用元:https://news.nifty.com//article/magazine/12179-2654627/

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