「患者襲うスナイパーも」ガザの病院“包囲”院内の惨状「地下にハマス」関係者は否定(2023年11月12日)

■暗い病室に乳児…ガザ病院包囲“内部の惨状”

これは11日にシファ病院の内部で撮影されたという写真です。暗い病室内のベッドの上に十数人の乳児が横たわっています。
（シファ病院で勤務していたマッズ・ギルバート医師）「ショックです。ショックを受けています。人間が人間に対しこんなことができるなんて」
以前、シファ病院に勤めていたギルバート医師は、病院内で働く友人からこの写真を受け取りました。その友人によれば、イスラエル軍の攻撃で「酸素吸入装置が壊れたため、39人の乳児が保育器から出された」「3人が死亡した」といいます。
（パレスチナカイラ保健相）「シファ病院で恐ろしいことが起きました。特に4階の産婦人科への空爆。これにより燃料不足に加え、電力不足に陥り、特にICUなどの医療に影響を及ぼしています。現在シファ病院の周辺では動くものはすべてイスラエル軍に撃たれてしまうので、（遺体を）外に運んで穴を掘って埋めることもできないそうです」
ギルバート医師は病院内の惨状についてこう話します。
（マッズ・ギルバート医師）「けが人の多くにウジ虫が確認できます。子どもにもやけどの包帯や傷痕にウジ虫がみつかるそうです。昨夜、聞いた話では病院は殺された人でいっぱいになっているそうです」
アメリカの戦争研究所によればイスラエル軍はガザ市を南北から包囲。シファ病院とその周辺地域に向けてさらに進軍し、近くのハマス側の兵士と衝突しているといいます。

シファ病院にイスラム組織ハマスの司令部があるとして包囲網を狭めているイスラエル軍。
（イスラエルネタニヤフ首相）「我々はシファ病院の周辺に展開している」
国境なき医師団はSNSにシファ病院に残る医師の11日の音声メッセージを投稿しました。
（シファ病院に残る医師）「今の状況は非常に悪い。私たちはつながっていない。インターネットがない。さらに、病院内にいる4人の患者を襲ったスナイパーもいる。1人は首を直接撃たれ、手足がまひしています。もう1人は腹部を撃たれた。病院の外に出て、南へ行こうとする人たちもいる。イスラエル軍はそういう人たちを、家族を爆撃した。実際に電気はない。水もない。食料もない。だから私たちのチームは疲れ切っている。病院の周りには煙が充満しています。イスラエル軍は病院の周辺のすべてのものを攻撃しています。状況はとてもとても悪い。助けが必要だが誰も聞いてくれない」
WHO＝世界保健機関は12日、SNSで、シファ病院の関係者との連絡が途絶えたことを明らかにしました。

■“地下にハマス司令部”主張するイスラエル軍が新映像

アラビア語で「癒し」を意味するシファ病院。国境なき医師団によると700人を治療できますが、先月末の時点で5000人の患者を治療中で、敷地内には、行き場をなくした数千人の市民が避難していました。
「治療なしだ。重体なのに父は治療を受けてない神の慈悲を待つしかない」
一方イスラエル軍は、シファ病院の地下にハマスの司令部があると主張しています。
（イスラエル軍報道官）「赤で示した病院がハマスの拠点です。ここから病院のほかの施設を指揮統制しています。この場所をテロ活動やロケット弾発射のために活用しているのです」
イスラエル軍が公開したCG映像には地下に張り巡らされたトンネル網も描かれていました。
（イスラエル軍報道官）「ハマスはイスラエル人や一般市民の命を危険にさらすだけではなく、罪のないガザの一般市民を人間の盾として活用しているのです」
これはイスラエル軍が11日に公開した映像。ハマスのテロリストの聴取の様子だとしています。
Q.ユダヤ人が爆撃しない場所は？
「病院だ」
Q．トンネルと病院の関係は？
「その多くが病院に隠されている」
Q.どうやって隠している？地下か？
「例えば、シファには地下室がある。地下にいることができる。シファは大きい。小さい病院じゃない」
Q.大物か？幹部か？
「そうだ」
本当に、シファ病院の地下にハマスの司令部があるのでしょうか？

番組は、2006年から最近までシファ病院で働いていた、ノルウェー人のギルバート医師に聞きました。
Q.ハマスの司令部のようなものが地下にありましたか？
（マッズ・ギルバート医師）「面白いですね。ジャーナリストは同じ質問ばかりして。これはイスラエル側のプロパガンダ＝嘘です。シファ病院で2006年から勤務していて、06、09、12、14年の爆撃中も働いていた。一度も司令部があるという兆候を目にしたことはない。軍用車も兵士も実効支配する軍政府幹部も見たことはない。行動規制もなくどこでも歩き回ることができた。写真もビデオも好きなように撮ることができた。どんなドアも開けられたし写真撮影を規制された場所もない。もしそんな想像上の施設があるならば何か兆候が見られたと思う。『そこには入らないで』『そこで写真を撮らないで』と言われたり。だからネタニヤフ氏にこう問いただしたい。証拠を見せてください。エビデンスを示してください」

■イスラエル軍“特殊部隊”投入…地下トンネル爆破

イスラエル軍は発見したトンネルの出入り口の爆破を進めています。
（CNN記者）「ジャバリア近くのこの丘で見つかったのは、3つのトンネルの集合地点です。見ての通り、1つ、2つ、3つ…ここに集まって、ハマスは素早く地下に潜って、ここから離脱できる。ここにはたくさんの爆発物と塹壕があった。武器や弾薬も。対戦車用の爆発物や、ロケットランチャーなどの保管庫もあった」
イギリスの公共放送BBCによると、ハマスの地下トンネルは全長およそ480キロ、最深部は地下80メートルで迷宮のようにはりめぐらされているとされます。そこでイスラエル軍が投入したのが…
「ヤハロムでの任務は、多くを明かすことができない」
「ヤハロム」とは軍の特殊工兵部隊。主な任務は、遠隔でロボットを操作するなどしてハマスの地下トンネルを発見・破壊すること。“トンネル部隊”とも呼ばれています。爆弾などの扱いも得意としていて、建物の破壊工作も任務の1つです。戦闘を終えた後のガザ地区についてイスラエルのネタニヤフ首相は、事実上、占領下に置く考えを示しました。
（イスラエルネタニヤフ首相）「テロを予防するためにガザ地区の治安を管理し続けるでしょう」

11月12日『サンデーステーション』より （C）　CABLE NEWS NETWORK 2023
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