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密着!中学生たちが 10 分間の「映画」に込めた“衝動”(2023年11月12日)

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■中学生だけで「映画」撮影 “熱い8日間”
 
 8月の夏休み。都内の施設に18人の中学生が集まりました。全員通う学校もバラバラでこの日が初対面。緊張の面持ちです。

 こども映画教室 代表理事 土肥悦子さん:「日本で一番大きい国際映画祭です。そこで、皆が作った作品が英語字幕を付けて上映されるんですよ」

 ここは一般社団法人「こども映画教室」が企画・運営を行う教室。東京国際映画祭で行われる特別企画で若い映画ファンや映像作家を育てるため7年にわたり開催されています。

 中学1年生 金子美佳さん:「ジブリ映画が好きです」
 中学2年生 林亮太朗さん:「好きな映画は『ゴジラ』シリーズです」「(Q.昭和版と平成版どっち?)平成版一択だったんですけど、今は昭和版も良いなって」

 全国から集まった子どもが映画を8日間で制作。作った作品は東京国際映画祭で特別上映されます。

 子どもたちはチームに分かれ物語や役者、撮影、編集にいたるまでを担当します。

 第一線で活躍するプロの映画スタッフたちが支えますが、あくまで“子どもたち主体”です。

 特別講師を務めるのが映画監督・真利子哲也さんです。

 特別講師 映画監督 真利子哲也さん:「観た人に理屈じゃなくて『おっ!』って一瞬でも思えるものが映っていたら1つ成功かなって思っている」

 そんな真利子さんが子どもたちに伝えた共通のテーマは、“衝動”です。

■テーマは“衝動” 「映像」でどう描く?

 特別講師 映画監督 真利子哲也さん:「考えずに行動するっていうことが衝動だから、(登場人物が)行動をとるみたいな事で、もっとシンプルにつかもうとした方が良い」

 子どもたちは相談しながら進めるのですが。

 中学1年生 月原千晶さん:「なんで撮りたいのか分かってないと、理由を言うことでそれを良いなって思う人もいるかもしれないし」
 中学1年生 杉江寧音さん:「その理由から(お話に)つなげられるかもだし」

 どんな物語を作るのか悩み続けていました。真利子さんはそばで見守ります。

 特別講師 映画監督 真利子哲也さん:「入りすぎると『ちょっと入りすぎ』って子ども達から言われたりして、やっぱり自分の言葉が(子どもたちの中に)残っていることが何日かやっていると分かったので、それにも自分は気を付けながら」

■プロ用の撮影機材を持ち いざ撮影へ

 撮影機材も自分たちで運んでロケ地に向かいます。撮影で扱うのはプロも使う機材です。

 中学1年生 杉江寧音さん:「電柱から歩いてきて」

 撮影しているのは主人公が塾の帰り道で忘れ物に気が付くシーンです。

 お互い納得がいくまで話し合いを続けます。

 施設の特徴を生かし「塾のシーン」も撮影。

 早速、撮影した映像を確認します。

 特別講師 映画監督 真利子哲也さん:「前の方が良かったなだったら、そっちを(編集で)使って良いし。同じ芝居をやれたっていうのは、素晴らしいですねその点は」

 サポートする大人は子どもたちの作る映画を決して否定しません。映画の見せ方などその手段だけを提案します。

 思いが伝わる1カットを皆で探していきます。

 撮影も大詰め。しかしなにやら不穏な雰囲気が…。

■撮影のリミット迫るも…迷走?

 中学1年生 月原千晶さん:「(映画のラストは)遊ばなくてもいいんじゃない」
 中学2年生 林亮太朗さん:「(登場人物の)2人が…」
 中学1年生 金子美佳さん:「ちょっといいですか?」
 中学3年生 池田庸明さん:「ついていけない」
 中学1年生 金子美佳さん:「そこの2人だけで話している感じじゃん。まわり皆シーンってなっている。皆で話したいな」

 ラストシーンで何を撮るのか決まらず、行き詰まっていたのです。

 特別講師 映画監督 真利子哲也さん:「あと30分くらいで(公園を)出ます」

 「とにかく撮ってみよう」と演技も撮影も即興で行うことに。

 自由に公園を走り回る姿をカメラが追い続けます。

 中学1年生 金子美佳さん:「大人の力も借りられないということがあって、本当にどうすればいいんだろうって。でもそれが(自分たちだけで)できた時の達成感は手伝われたときよりは大きくなるなとは思います」

■“上映”ギリギリまで「想い」込め

 映画教室“最終日”。この日は、保護者を招いて初めて上映会が開かれます。上映のギリギリまで話し合いが続いていました。撮影で皆が1つになったあのラストシーンに音楽を付けます。映画のラストを飾る音楽を思い浮かべ即興で演奏。そして、音楽を映像に乗せると…。

 中学1年生 金子美佳さん:「泣きそう」
 スタッフ 奥定正掌さん:「めっちゃすげーじゃん。良いじゃん」
 スタッフ 藤田開さん:「俺も泣きそうだよ」
 スタッフ 奥定正掌さん:「めっちゃいい音楽だ」

 子どもたちの「衝動」が込められた作品が完成しました。

 映画「かえして」は、塾に通う子どもたちの物語です。スマホを友人に盗られてしまった主人公がけんかをするも「鬼ごっこ」でその関係を修復していくストーリーです。

 保護者は―。

 寧音さんの母 杉江まゆみさん:「皆さん初めましての方たちばかりですごい緊張していたと思うし不安だったと思うんですけど、毎日(娘の)朝の支度の仕方を見るとだんだん前のめりになっているので、そういった姿を見て良い関係が作れているんだなって思って背中を見て頼もしく思いました」

 庸明さんの母 池田ミホさん:「人に頼っていたものを自分で引っ張らなきゃいけない部分もあるんだなっていうことを感じたみたい。意見をまとめていいのか、どこまで自分を出していいのか、人の意見はどれだけ聞いたほうがいいのか難しかったみたいです」

■東京国際映画祭で特別上映「世界に一つだけの」

 そして、「東京国際映画祭」で子どもたちの作品が劇場で上映されたのです。

 来日していた映画関係者は。

 スコットランド「Film Education Journal」編集長 ジェイミー・チェンバースさん:「口論のシーンはとても情熱的でその緊張感に共感できた。皆、自分たちの作品に誇りを持ってほしい。素晴らしかった。ありがとう」

 中学3年生 池田庸明さん:「このチームでしか出せない映画が作れてよかったと思います」

 中学1年生 杉江寧音さん:「このチームでしかできない、一つだけの、世界に一つだけの映画ができた」

 特別講師 映画監督 真利子哲也さん:「上映した時に皆高揚して喜んでいたのがすごく印象的で、本当に素晴らしい作品だと自分も思ってその体験ができたのを本当にうれしく思いました」

(2023年11月12日サンデーLIVE!!OA)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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