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「子どもだけで留守番禁止」埼玉県の条例案が炎上。シングルマザー・ファザーのリアルな声は|ニフティニュース


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2023年10月。埼玉県議会で、自民党県議団が提出した「埼玉県虐待禁止条例」の改正案が波紋を呼びました。

 一時、本会議で採決が予定されたものの、相次ぐ批判により改正案は取り下げに。

 影響を受ける可能性があった、埼玉県で暮らす保護者たちはこの一連の騒動に何を思ったのか。生の声を聞きました。

“小学3年生以下”の「放置」禁止が物議の的に

 2023年10月24日時点。「埼玉県議会 自由民主党県議団」のWebサイトでは、改正案のPDF「埼玉県虐待禁止条例の一部を改正する条例」が閲覧できます。

 改正案は「児童(九歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるものに限る。)を現に養護する者は、当該児童を住居その他の場所に残したまま外出することその他の放置をしてはならない」とはじまります。

 この「九歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるものに限る」が、メディアで“小学3年生以下”とされた箇所です。

 改正案の文言は続き「当該児童を住居その他の場所に残したまま外出することその他の放置をしてはならない」が、保護者をはじめ大きな波紋を呼びました。

 自民党は2023年10月4日の本会議の質疑などで「子どもを車の中に置き去りにすること」や「子どもたちだけの自宅での留守番」も「放置」にあたると説明。

 他にも「未成年の高校生に小学生などのきょうだいを預けて買い物に出かける行為」や「子どもだけ家に残してゴミ捨てに行く行為」、「子どもにおつかいさせる行為」なども含まれるとして、SNSでも「生活できない」「共働きやひとり親過家庭を全否定している」といった厳しい意見が目立ちました。

「安全配慮義務」が語られぬまま議論が白熱

「埼玉県虐待禁止条例」の改正案では“小学3年生以下”の児童を対象とした「放置」禁止に加えて、小学4年生~6年生までの「児童」を持つ保護者に対して「放置」しないよう、努力義務も要請していました。

 さらに、埼玉県民が「虐待を受けた児童」などを発見した際、すみやかに「通告又は通報しなければならない」として、一部では「相互監視」になると批判が上がっていました。

 2023年10月10日、世間の声に反応した埼玉県議会の自民党県議団は改正案の撤回を発表。同日10時までに埼玉県には反対意見が871件、賛成意見が2件寄せられたといいます。

 ただ、今回の改正案では一部メディアで「留守番禁止条例」「トンデモ条例」とセンセーショナルな見出しが踊ったのも、混乱をもたらした要因と言えます。

 今回の改正案を提出した自民党県議団の田村琢実団長は会見で、反省の弁を伝えながらも「議案の内容は私は瑕疵がなかったと感じています」と述べたといいます。

 もともと「埼玉県虐待防止条例」では「虐待」に伴う「養護者の安全配慮義務」を定めています。例えば、保護者が児童の登下校にあたりブザーを持たせるなどすれば「安全配慮義務」を満たしていると考えられますが、田村団長は結果、改正案の提出時に説明が「抜け落ちてしまった」と伝えました。

 一連の騒動では、いかなる状況でも“小学3年生以下”の児童を「放置」することそのものが一律禁止されるかのような表現が、メディアをはじめ、独り歩きしてしまったともいえそうです。

保護者が明かすリアルな子育て事情

 内閣府 男女共同参画局の「令和4年版 男女共同参画白書」(2022年6月)によれば、「妻が64歳以下」の世帯のうち「共働き世帯」は1177万世帯。いわゆる“専業主婦”の世帯は458万世帯で、前者は約“7割強”となります。

 現状を鑑みると、「埼玉県虐待禁止条例」の改正案の内容に対する批判が上がったのも、うなずけます。

 では実際、埼玉県の保護者たちは何を思ったのか。

 小学4年生の息子を育てる、会社勤務でシングルマザーのAさんは“幻”となった改正案への率直な感想をつぶやきます。

「うちは、かろうじて実家が近いので助かっていますが、預けられないとなると、一人で留守番させるときもあるんです。息子には申し訳ないですが、自分がシングルなので仕方ないし、それすらも『虐待』とされることには違和感をおぼえました」(Aさん)

 シフト制でスケジュールも流動的なため、ときには「近所の“ママ友”同士で子どもを預け合う」とも話すAさん。

 しかし、「たがいに頼む頻度を考えなければいけないし、次は相手の子供を預からなければいけない。お礼にケーキなど、お土産を買わなければいけないといった、“ママ友”付き合いもも大変」と、悩みを吐露します。

3人の息子を育てるシングルファザーは…

 一方、小学1年生、5歳、3歳の息子3人を育てる、会社勤務でシングルファザーのBさん。

 現在、仕事中はそれぞれ学童、幼稚園、保育園に預けているといいますが、周囲には「子どもを預けられない友人」もいて、「余計なお世話だと口にしていました」と話します。

 さらに、埼玉県で暮らす上で「おせっかいな条例を考える前に、もっとやってほしいことがある」と主張も。

「埼玉の一部ですが、今住んでいる自治体では給食でのアレルギー対応に不満があり、実際、息子が小麦アレルギー持ちなので学校との交渉には苦労もありました。

 病院では、子どもの急な発熱に対応してくれず、近隣の市町村まで夜遅くに車を飛ばしたこともあります」

“子育て”に限らず、各地の条例には暮らしやすい環境を作る目的もあるはず。「埼玉県虐待禁止条例」の改正案に端を発した今回の騒動は、行政の姿勢を今一度問うきっかけになったといえそうです。

<取材・文/カネコシュウヘイ>

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]...以下引用元参照
引用元:https://news.nifty.com//article/item/neta/12194-2640855/

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