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【報ステ解説】民間人の犠牲“空爆の10倍”に…人質の影響は?軍事面から見るガザ侵攻(2023年10月23日)

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ガザ地区の住民に南部への退避を促しているイスラエルは、この24時間で320カ所以上の目標を空爆したと発表しました。数十に上るハマスの拠点や地下トンネルを破壊していることから、地上侵攻に向けた準備の一環とみられます。

イスラエル空軍司令官:「私たちは、ハマスが“戦争初日”かと思うくらい、全力で攻撃する」

いつ始まってもおかしくない、地上侵攻。そう言われるなか、この週末に表面化したのが、西側諸国の変化です。CNNなど、複数のアメリカメディアが「バイデン政権がイスラエルに対し、地上侵攻の開始を遅らせるよう働き掛けている」と相次いで報じました。きっかけになったとみられるのが、ハマスがカタールの仲介に応じ、囚われていたアメリカ人2人を解放したことです。

CNN:「バイデン政権はイスラエル指導部に対し、人質交渉の進展を理由に延期するよう圧力をかけた」

アメリカ バイデン大統領:「(Q.大統領、イスラエルに侵攻延期を働き掛けているのでしょうか)イスラエルと話をしています。(Q.人質のさらなる解放については)…」

地上侵攻における大きな懸念は、まだ200人以上いる人質の安否です。そこに目に見える進展が起きたことで、考えを変えた可能性があります。

もう1つ、“変化”といっていいもの。欧米6カ国の首脳による共同声明です。

共同声明(22日)「イスラエルの持つ自衛権の支持を改めて表明するとともに、民間人の保護を含む、国際人道法の遵守(じゅんしゅ)を求めた」

ここで言う国際人道法とは、一般市民に対する攻撃の禁止と、敵勢力の排除のために必要以上の武力を行使することの禁止、2つを指していると思われます。イスラエルの自衛権は認めつつも、やりすぎにならないよう釘を刺す。西側陣営として異例の対応です。

イギリス クレバリー外相:「私は国際法の遵守と、ガザ市民の命を守る大切さを、イスラエル政府に直訴しました」

地上侵攻は長期戦に及ぶと踏んでいるイスラエル軍。

イスラエル ガラント国防相:「1カ月2カ月3カ月かかるだろうが、最後にはハマスがいなくなる。ハマスが我々の戦車や歩兵と接触する前に、我々の空軍からの砲弾を知るだろう」

侵攻の火蓋が切られれば、イランや他の武装勢力が介入してくる可能性も国際社会の懸念材料です。その警戒として、アメリカは2隻目の空母を中東に向かわせていますが、一部メディアがこう報じています。

トルコメディア:「イスラエル軍のラジオが報じたところによると、イスラエルは追加の米軍部隊が中東に到着するまで『地上戦を遅らせる』ことを決めたという。ただ、イスラエル軍の準備態勢や人質問題の解決策の模索など、他の要因も絡んでいる」

◆200人超の人質 どう影響?

陸上自衛隊としてゴラン高原での任務経験がある、防衛省防衛研究所の小橋史行主任研究官に話を聞きます。

(Q.ガザ地区には、まだ200人を超える人質がいるとみられています。人質の存在は、地上侵攻にはどう影響しますか)

小橋主任研究官:「イスラエルは自国民の安全を重視する国で、人質救出を第一に考えていると思います。人質の状況が分からないので、地上侵攻ができない状況になっていると考えています。人質を救出できる状況が判明すれば、地上侵攻を開始する可能性が出てきます。」

(Q.イスラエル軍が地上侵攻する場合、どんな攻撃から始まりますか)

小橋主任研究官:「まず、空と海から同時に攻撃を行い、ロケット弾などの発射関連施設や観測所、通信施設、トンネルの入り口などを破壊。その後、イスラエル領内からりゅう弾砲や迫撃砲を使って、目標を射撃。そして、先遣部隊を前進させ、地雷や障害の処理、航空攻撃のがれきなどの撤去を行うとみられます」

(Q.その後はどんな動きになりますか)

小橋主任研究官:「爆薬やブルドーザーなどで、ガザ地区との境界の壁を破壊して侵入。戦車や、歩兵が乗車する装甲車を持って前進するでしょう。イスラエル軍は暗視スコープを持っているので、夜間に行う可能性が高いとみています」

(Q.ハマスは複雑な地下トンネルを掘っていると言われます。ここに対して、イスラエル軍はどうしますか)

小橋主任研究官:「イスラエル軍は兵士の犠牲を最小限にしようとする軍隊です。恐らくトンネル内には入らずに、ドローンやボール型のカメラでトンネルの位置を確認してから、破壊もしくは埋めると思います」

(Q.イスラエル軍は、民間人を巻き込むことを計算に入れたうえで、地上侵攻を遂行することになりますか)

小橋主任研究官:「2014年にイスラエルがガザ地区に地上侵攻した時は、空爆の10倍にあたる犠牲者が出ました。現在、ガザ地区での犠牲者は4300人を超えていて、10倍となると相当の数になります。イスラエルはガザ北部の住民に対し、南部に退避するよう勧告しています。もしそれを住民が受け入れれば、民間人の犠牲は軽減できるのではないかと思います」

(Q.ハマスはどんな抵抗手段を取ると考えますか)

小橋主任研究官:「ハマスは1万5000~2万人くらいの勢力とみられています。イラン製ロケット弾を改良していて、なかには射程200キロに及ぶものもあります。基本的にはゲリラ戦法で、トンネルに潜んで、イスラエル軍の隙や弱点を見つけて、じわじわと攻撃を仕掛けると考えています。一番の問題は、人質を盾にする可能性も捨てきれないことです」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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