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中国投資で港・高速道路できたが…『一帯一路』10年の“光と影”(2023年10月17日)

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中国の習近平国家主席が掲げる巨大経済圏構想『一帯一路』。提唱から今年で10年を迎えますが、それを記念する国際フォーラムが17日、開幕しました。

各国の首脳が続々と北京入りしました。注目は、ウクライナへの全面侵攻後、初めて訪中したロシアのプーチン大統領です。18日に習国家主席との会談が予定されています。『一帯一路』に警戒感を示す国々への非難をにじませながら、この構想を絶賛しました。

ロシア・プーチン大統領(15日):「私たちは中国に他国を踏み潰すたくらみがあるとは思わない。『一帯一路』の概念における最たるメリットは、誰にも何も強要しないことだ」

その『一帯一路』。中国が大きな成果と位置付けているのが、ラオスへつながる高速鉄道です。昆明からビエンチャンまでの約1000キロを9時間半で結びます。総工費1兆円の7割を中国が拠出。残りも大半が中国から融資です。

ラオスの首都・ビエンチャン。街中で、漢字が目に入ります。中華料理店では、中国の人民元が使えます。街では、中国の投資による開発も進み、経済成長率は、今年、4%に上ると見込まれています。

中国とラオスの太いパイプとなる高速鉄道。ラオスは内陸国で、海はありません。中国が目指すのは、ラオスの先の海です。

中国には、3つのルートで東南アジアと結ぶ鉄道構想があります。しかし、開通済みなのは、ラオスまでのみ。東と西の路線が遅々として進まないなか、カンボジアを通って、海に出るルートの建設が持ち上がっています。

カンボジアでは、すでに中国の投資が熱を帯びています。
中国の大手建設会社が、工事を進める巨大な多目的港。約600ヘクタールの広大な敷地に物流拠点や製油所などかつくられる計画です。

道路を含め、インフラがまだ整っていないところも多いカンボジア。去年開通した初の高速道路は、以前5~6時間かかっていた首都・プノンペンと、港湾都市・シアヌークビルの間を2時間余りに縮めました。

巨額投資の先に、中国は何を求めているのでしょうか。
シェムリアップ近郊にあるカンボジアの海軍基地。中国が拡張工事を支援していて、南シナ海に近いこの基地が、中国の軍事拠点となる可能性が指摘されています。

一方で、巨額投資は、地元にとって良いことばかりではありません。
中国の投資で開発したものの、建設がストップした建物。中国に対する債務は、膨らむ一方です。
トゥクトゥク運転手:「中国人が入ってくる前は商売がしやすかった。物価も安かった。いまは貨幣の価値が下がり、物価が高くなって、商売もよくなく、経済が悪化している」
漁師:「最初は、この港湾開発は良かったと思っていましたが、海や魚や土が汚れて、前は魚をよくとれたのが、いまはあまりとれなくなりました」

『一帯一路』の提唱から10年。中国経済自体に陰りが見え、G7で唯一参加していたイタリアが離脱を検討するなど、巨大経済圏構想は曲がり角を迎えています。
東京大学・川島真教授:「中国経済が大きく悪化しているので、国内の経済が優先になってくる。国内において大きな不満があるので、これでお金をばらまくにしても、国内から、当然、強い不満があって。国内で失業率が上がっているのに、何でこんなことするんだって話になる。大きなチャレンジになってしまう」

そんななか、やってきたのがウクライナに侵攻した国の大統領です。
東京大学・川島真教授:「中国が、一番、嫌がるのは、プーチン政権が瓦解し大混乱しちゃうとかが怖い。また、プーチン政権が倒れて、ロシアの中の政治がガラッと変わって、NATOととても仲良しなロシアになってしまう。この方が中国にとっては災難なわけですね。(今回のフォーラムは)途上国の仲間をどうするかというよりも、やはりアメリカというものをにらみながら、ロシアとの結束を表現するということになるのかもしれない」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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