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過酷なトレーニングで吐血、猛烈なバッシング…新世代の大食い王が“それでも食べ続ける”理由|ニフティニュース


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2023年5月に放送された『最強大食い王決定戦2023』(テレビ東京系)は、アンジェラ佐藤や、らすかる新井など日本の大食いトップ選手の他、世界ナンバー1の“異次元女王”モリーや、“レジェンド”木下智弘まで参戦し、当代最強とも言えるメンバーが揃った。
しかし、下馬評を覆すように優勝をかっさらったのはカワザイル(河田大志)なる人物だった。大食い界の表舞台に突如として現れた彼は一体何者なのか。本人を直撃した。

◆優勝時に達した「無」の境地

――今回の大会、優勝する自信はあったんですか?

カワザイル:最初から優勝するつもりで挑んでいました。準優勝した木下さんとアメリカ人選手のモリー選手がかなり強敵で、この二人がキーマンになってくると思って戦っていましたね。

――ライバル二人の凄さはどんな部分ですか?

カワザイル:木下さんはキャパがあることはもちろんなんですが、いまだに未知数というか計り知れない凄みがあります。日本だと、多くの大会で制限時間が45~60分ですが、アメリカではだいたい10分前後での勝負。そんな短期決戦を主戦場にしているモリーさんは、飲み込む力が別次元です。終盤にこちらが遅くなってきても、ペースが落ちないので追い込みがすごいんですよね。

――誰もが認める強敵を倒しての優勝。その時の気持ちを教えてください。

カワザイル:優勝が決まった瞬間は、頭の中が真っ白でした。嬉しいとか達成感というより、無になってましたね。それからじんわりと、大食いを初めて今までの辛かったことや嬉しかったことが思い出されて、涙してしまいました。そして「諦めずに日本一に向かって突き進んでよかったな……」という気持ちがこみ上げてきましたね。

◆バッシングを受けるなか、続けてこれたのは…

――今まで辛かったご経験もあったんですか?

カワザイル:過去に炎上したことがありまして。大食いを始めて2年目くらいのことなんですが、バッシングが酷い時期があったんです。アンチの人たちに何かを言われるのは仕方ないのは、その時も今も理解して活動していますが、同じフードファイターの方からも、SNSで批判的なことを言われたので辛かったですね。まだ大食いの実力もついていなかったので、病んでしまって大食いを辞めようと考えていました。

――それでも続けてこれたのはなぜですか?

カワザイル:やっぱり、少ないながらも応援してくださる方がいたからです。引退を考えているということを言ったら「私たちのように応援している人もいるから、そんな人たちのためにも活動を続けてみたら?」と言われて、もう一度頑張ろうという気持ちになりました。

あと、やっぱり結果を残せたときの喜びは大きいですね。結果が出なかった時期も長かったので、今は食べた量が数字で出たり、優勝という形になったりして結果が出ることが喜びにつながって、今後もフードファイターとして生きていこうと思えますね。

――目に見える結果はモチベーションになりますよね。

カワザイル:そしてなにより、食べることが好きということは大前提にあります。そして、子供の頃からファンだったフードファイトの世界に居られることと、フードファイトをやっている時が一番楽しいです。

◆1.2キロの牛丼を“余裕で完食”した

――大食いは幼少期からですか?

カワザイル:いえ、僕が大食いを始めたのは23歳の時です。それまでは、ちょっとよく食べる子ぐらいの感じだったんですよ。他の子より一杯おかわりが多いくらいの。

――23歳の時に何があったんですか?

カワザイル:友達とすき家に行って、ノリで約1.2キロの「キング牛丼」に挑戦したら、僕だけ完食できたんです。

――苦しみながらの完食だったんですか?

カワザイル:いえ、わりと余裕で完食しましたね。友達はみんなギブアップだったので「すげーな!」ってなったんです。それで、その年の『元祖!大食い王決定戦』(テレビ東京系2015年9月放送)に応募しました。

◆「10キロ食べて胃袋を膨らませる」過酷なトレーニング

――大食いキャリアはほぼゼロでの初挑戦だったんですね。

カワザイル:子供の頃から大食いファンで、大食い番組を見るのが大好きだったので、思い出づくりのような感じで応募しました。だから、勝敗は一切気にせず出場したんですが、準優勝できたんです。そこで、フードファイターとして生きていこうと決断しました。

――その大会で食べた記録を教えてください。

カワザイル:お茶漬けを6.9キロくらい食べました。

――キング牛丼と同じ年なのに、大きな飛躍ですね。大食いは鍛えられるものなんですか?

カワザイル:「鍛えられる」と思っています。僕の場合、食材を大量に使った(コストをかけた)トレーニングはできないので、最近は2~3キロ食べて、他を水分で膨らませるトレーニングをやっています。

――水などを流し込むんですね。食べ物と合わせて5~6キロになるようなイメージですか?

カワザイル:いえ、合計で10キロくらいはいきますね。水だけでバケツ1杯に近いくらいは入れていきます。イメージは胃袋がゴム風船で、それを伸ばしきるような感じです。

◆食道に亀裂が入り、吐血…

――トレーニングはやはり辛いものですか?

カワザイル:そうですね。先日も肉でトレーニングをした時に、胃の中で脂が固まってしまって、大量に食べているうちに食道に亀裂が入ってしまいました。

――痛みもありましたか?

カワザイル:かなりの痛みがありましたよ。それが終わって咳き込んだ時に、食道が傷ついているので吐血をしてしまって、その後2週間くらいは何かを食べるたびに激痛でした。

◆「食べる順番」も大切な要素のひとつ

――物理的に胃袋を膨らます鍛錬以外に、テクニックの向上も可能ですか?

カワザイル:出された食材によって戦略を考えることもできるようになります。僕の場合は、最後に残すと苦しくなるような食材を先に食べます。例えば、ご飯と肉と野菜が出てきたとしたら、野菜・肉・ご飯の順番ですね。

――野菜が一番辛いのは意外ですね。

カワザイル:野菜はそのまま飲み込むのが難しいので、咀嚼が増えるんですよ。後半になると咀嚼するのがより辛くなるので野菜が先ですね。

――メニューの得意・不得意は、咀嚼の多さに比例しますか?

カワザイル:ある程度比例します。僕はやはり、ご飯系や麺系など、飲み込みやすいものが得意ですね。今までで特に苦手だったのは、『最強大食い王決定戦2023』で出たメニューでもある「海苔巻き」です。

――ご飯系のようにも思いますが。

カワザイル:海苔が予想以上に飲み込みづらくて、かなりの咀嚼を必要としました。ラーメンに入っているような海苔なら、スープでふやけるので問題ないんですが、ご飯に巻いてある海苔は本当に強敵で、人生でワーストと言っていいくらいキツかったです。

◆フードファイト中は食を楽しまない

――大食いに対するポリシーはありますか?

カワザイル:普段は食べることは大好きですが、フードファイト中は食を楽しまないということです。ただ、チャレンジ前は精神統一しながら食べ物に対して手を合わせて、感謝の気持ちを持ちます。本来なら、僕たちの血や肉となる生き物の命だったものが食材なので、食べ物を競技に使うということがフードファイトの批判される部分ではありますね。なので、感謝の思いは精一杯込めます。

――大食いをやってきたからこそ学べたことはなんですか?

カワザイル:本当にお腹いっぱいの時って、ほんのちょっとが入りません。でも、そこで諦めずに戦い続けるということをやってきたので、何をするにも諦めないことの大事さを学びました。

◆大食いが「アスリートと同格」になる日を目指す

――いわば日本一の称号を得た今、次の目標はなんですか?

カワザイル:来年の『ネイサンズ国際ホットドッグ早食い選手権』に出場するので、この大会で優勝することです。

――かつて小林尊さんも出場したアメリカの大会ですね。優勝は手の届きそうな目標ですか?

カワザイル:これまでと違って、チャレンジ時間が短いので、今はとても難しくて遠い目標だと思って挑んでいます。あと10か月ほどあるので、早食いのスキルをどこまで高められるかだと思ってトレーニングを重ねています。水のトレーニングも短時間でどれだけ入れられるかという方法で鍛えています。

――将来の野望を教えてください。

カワザイル:僕がジャイアント白田さんやギャル曽根さんをみて憧れたように、今後は僕が、大食いファンの方に名前を覚えられる存在になっていきたいです。また、今はフードファイターという仕事が日本では認知度が低いのが現状です。僕はそれを払拭して、アスリートと同じように見られるように頑張っていきたいと思っています。

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『最強大食い王決定戦2023』の優勝で、いわば日本一の称号を得たと言ってもいいカワザイル氏。昨今、野球、サッカー、バスケとスポーツにおける日本代表の躍進が目覚ましいなかで、大食い界にも世界で戦える存在がいることを覚えていてほしい。

<取材・文/Mr.tsubaking>

【Mr.tsubaking】

Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

]...以下引用元参照
引用元:https://news.nifty.com//article/magazine/12193-2583231/

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