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赤いきつねCM、複数企業の“連帯”で新たな炎上も。「誹謗中傷」と「批判」の違いを改めて考える
2025年2月27日(木)20時30分 All About
東洋水産の「赤いきつね」のWebCMが大きな話題になってから10日以上が過ぎました。この件は決して「性的かどうか」という単純な判断には限らない、多くの問題と教訓を含んでおり、特に「誹謗中傷と批判との違い」を見つめ直すきっかけになると思うのです。(サムネイル画像出典:東洋水産株式会社公式Xより)
2月16日ごろから東洋水産の「赤いきつね 緑のたぬき」のWebCM 「『ひとりのよると赤緑』おうちドラマ編」へのネガティブな意見がX(旧Twitter)で拡散され、その後も生成AI使用の疑惑への声明や複数企業のXアカウントでのフォローでの連帯などが話題を呼び続けていました。
この騒動自体に対し「大げさ」「もううんざりだ」と思う人もいるでしょう。しかし、この騒動は、当初に激しい意見が飛び交っていた「性的に見えるか否か」という単純な判断だけではなく、特に誹謗中傷と批判との違いについて考えるべき問いも含んでいると思います。3つの点に分けて記してみましょう。
1:クリエイターを守るための声明は正しい。批判と誹謗中傷の違いとは
まず、この論争により「誹謗中傷が巻き起こっている」という事実があります。2月21日に、本CMを企画したCHOCOLATE Inc.の公式Xで「一部SNS上において『生成AIを使用している』との憶測や、関係者個人に対する誹謗中傷が発生しております」という声明が出されました。
「性的に見えるか否か」といった人それぞれで異なる感想ではない「事実」をはっきりと告げていますし、「虚偽の情報を拡散する行為や、関係者に対する誹謗中傷は、当該個人の名誉を著しく毀損(きそん)するものであり、看過できるものではございません」という文言は、断固としてクリエイターを守る立場を表明する言葉として正しいものだと支持できます。
一方で、「批判」そのものが悪いというわけでもありません。今回のCMでは「テーブルの後ろの脚が消えている」「ベランダに続く窓のすぐ隣になぜドアがあるのか」といった作品そのものへのクオリティーやディテールに関する批判もあり、この声明で生成AIを使っていないことが分かった上で、ネット上には「こうした描写にチェックと修正がされないまま完成版として世に出ていることは残念」という指摘も寄せられました。その意見には正当性がありますし、クリエイターが教訓にするべきことが確実にあります。
ただ、そうした批判がクリエイターへの「人格否定」ともいえる領域になってしまうと、誹謗中傷となり、それは名誉毀損または侮辱罪というれっきとした犯罪にもなりかねません。筆者も含め、誰もが「憶測で語る」ことはもちろん、「一線を越えてしまう」危険性を認識しなければならないでしょう。
さらに問題であると思えたのは、今回のCMで不快感を示した意見について、その投稿者に対しても憶測で決めつけ、かつ見下しているような言葉をいくつか見かけたことです。本件に限ったことではありませんが、「自身が気に入らない批判をした人への人格否定が平然と行われる」ことは、昨今のSNSにおいてとても深刻だと思えました。
ここで改めて誹謗中傷の定義を示しておくと、警察庁の発表では「誹謗中傷とは、悪口や根拠のないうそなどを言って、他人を傷つけたりする行為」のこと、政府広報や総務省によれば「相手の人格を否定または攻撃する言い回しは、批判ではなく誹謗中傷」とあります。
今回のCMおよび巻き起こった論争に不快感を覚えるかどうかは人それぞれで、それに関する意見をSNSで投稿するのは個々人の自由であり、批判の範疇(はんちゅう)に収まるものも多くあるとは思います。ただし、その批判に正当性や根拠があるか、誹謗中傷へと足を踏み入れていないかどうかについては、誰もが立ち止まって考える必要があるでしょう。
2:複数企業の連帯は「今」ではないのではないか
さらに、2月25日にはタニタの公式Xが東洋水産のアカウントをフォロー、その後も、サッポロビール、アース製薬、フジッコなど名だたる企業が同アカウントをフォローし、東洋水産は30万フォロワー達成への感謝も投稿していました。「赤いきつね」の騒動から間もないタイミングでのフォローおよび投稿内容が、タニタを含む他企業の連帯による「悪ノリ」のようだと批判が寄せられ、「女性蔑視的である」と訴える声や「不買」を主張する声も上がりました。
筆者個人としては、前述したこれらの行動について企業アカウントとしてはやや逸脱した行為であり、少なくともフォローするタイミングは「今」ではないとは感じます。もちろんCMとまったくの無関係という言い方もできますが、後述するように不快感を抱いた人が存在する、炎上をしていた事実がある以上、「そう」だと捉えられてしまう投稿は、しばらくはやめておくべきだったでしょう。このことで、さらに人格攻撃と言える誹謗中傷が巻き起こっていたことは、とても残念です。
3:「非実在型ネット炎上」という言葉の危険性
本CMの騒動は、局所的な批判ムードが炎上と捉えられてしまう「非実在型ネット炎上」に該当するといった意見もあります。しかし、Xでは実際に「気持ち悪かった」といった率直な意見の投稿に数万件の「いいね」がついていますし、その意見があったからこそ激烈な反論も上がって、話題となったのは事実です。「性的に見えたり気持ち悪さを指摘する批判意見は、全体でごく一部」など「割合」で論じることもできますが、今回は決して「批判意見は実在していない」「炎上していない」わけではないのです。
非実在型ネット炎上という言葉を用いて、「過剰反応ではないか」などと主張することにも正当性はあります。一方で、この言葉が「批判的な意見が存在しないように扱われる」方向性で、自分の意見のみが存在するかのように、都合よく使われる危険性もあることも認識しなければならないでしょう。
まとめ:議論自体はいいことかもしれないけど……
今回の騒動では、「性的か否か」といった単純な判断ではやはり語りきれない複雑な要素が多く、筆者個人としては「視聴者が選ぶことのできるテレビアニメや映画ではない、不特定特定多数が見る企業CMとしては、女性のしぐさのフェティッシュさがやや強調され過ぎているのではないか」と思うところもあります。
加えて、どんな作品でも人それぞれの生理や価値観に根差した好き嫌いのジャッジは生まれますし、どうしたって賛否両論はまぬがれないでしょう。それでも、やはり多くの人に訴求するCMでは、なるべく多くの人に受け入れられるようにするための工夫や配慮は必要だとも思えるのです。
このことでCMはもちろん、アニメや創作物における女性の描き方や、作品のクオリティーの追求などで、論議が活発になること自体は良いことだと思います。ただし、そこで生まれた批判が誰かを深く傷つける誹謗中傷、犯罪へと発展してしまうのは、とても悲しいことです。今一度、そのことを考えてみていただきたいです。
この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。
(文:ヒナタカ)
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]...以下引用元参照
引用元:https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0227/aab_250227_5970628857.html