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今年2月に入って、吉本興業所属のお笑い芸人がオンラインカジノで賭博を行った疑いで活動自粛に追い込まれる事態が起きている。さらに直近では、プロ野球・オリックスバファローズの山岡泰輔投手が、オンラインカジノに関与したとして活動を一時休止することを発表している。
振り返ると、1月には、東京五輪の卓球男子団体銅メダリストの丹羽孝希選手が海外のオンラインカジノサイトで賭けをしたことが発覚。丹羽孝希選手はその後略式起訴され、国内リーグから選手登録が抹消されている、
オンラインカジノ問題は、芸能界、スポーツ界へと広がり、今後どこまで波及していくのか、予想もつかない状況にある。
問題が発覚した著名人の多くは、「違法と知らなかった」といった説明をしているが、オンラインカジノは明確に違法行為であり、「知らなかった」では済まされない。
■オンカジをのさばらせた責任はどこにある?
一方で、オンラインカジノに対する啓発活動が不十分であるのみならず、多くのメディアでオンラインカジノの広告が出稿されているという実態がある。違法性に対する認識が薄くなってしまうのもやむを得ないという側面はある。
オンラインカジノの利用を認めたお笑いコンビ「令和ロマン」の高比良くるまさんは、「インターネット上でサイトの広告があったこともあり、違法ではないと認識してしまった」と述べている。
なぜ、違法でありながらも、オンラインカジノの広告が容認され続けてきてしまったのだろうか? このような状況をもたらしたことの責任の所在はどこにあるのだろうか?
■SNS上の広告は取り締まりが難しい
昨年以降、オンラインカジノの実況中継を行ったり、サイトへの勧誘活動を行ったりしたYouTuberが相次いで逮捕される事態が起こっている。
自身は違法賭博を行わなくても、決済に関与したり、広告・宣伝を行って違法賭博に誘い入れたりすると、「賭博幇助」などの罪に問われる可能性がある。
つまり、違法行為を自ら行なったり、それを幇助したりしたYouTuberが逮捕されるのは、当然のことと言える。
ところが、問題はそこで終わりではない。オンラインカジノの広告は、依然として問題を抱え続けている。
具体的に言えば、下記の2点が解消されていないことが、問題解決の大きな障壁となっている。
1.一般的にインターネット上の違法な広告を取り締まることが難しい
2.オンラインカジノ「無料版」の広告によって法規制を逃れている実業家の堀江貴文さんや前澤友作さんなどの有名人へのなりすましで問題になった、SNS型投資詐欺広告をはじめ、インターネット上には違法な広告が横行している。
インターネット上の広告は、自動で入札、配信が行われることが多いため、違法な広告を取り締まるのが難しいという問題がある。
ただし、オンラインカジノ広告の問題はインターネット上に留まらないのが特徴だ。そこには、2つ目の「無料版」広告の問題が大きく横たわっている。
■“脱法的”にオンラインカジノ広告は黙認されてきた
オンラインカジノ広告の問題に関して、ニッポン放送は2月18日、公式サイトで「無料オンラインゲーム会社の広告放送について」という声明を発表した。
声明で、ニッポン放送は「有料オンラインカジノ」の広告は放送の実績はないが、「カジノ無料版」などのタイトルで運営されている無料オンラインゲームの広告については放送の実績があったことを報告した。今後は「考査基準を厳格化して運用する」と表明している。
また、スポーツ専門の有料映像配信サービス「DAZN」などでも、オンラインカジノ「ベラジョン」や「ミスティーノ」の無料版のCMを放送してきた。
ニッポン放送の声明文はなかなか理解がしづらいのだが、このわかりづらさに問題の本質がある。
当然のことだが、違法行為の広告を行うことは問題である。ただし、オンラインカジノの無料版サイトは、「オンラインゲーム」に分類されており、抜け穴的に広告出稿が許容されてきた――ということになる。
■CM配信は無料版であっても「脱法行為」
筆者自身、広告会社に勤務していた頃に、公営ギャンブルの案件に少しだけ携わっていたことがあるが、広告表現や、活用するメディアにはかなりの制約があった。
営業の担当者からは、「射幸心を煽る可能性がある行為は禁止」ということを再三聞かされてきた。射幸心とは「偶然の力で利益を得ようとする人間の欲求」を示している。
オンラインカジノに関しては、無料版の広告であれば「射幸心を煽っている」とは言えない――というのが正当化の理屈となるだろう。
ただ、実際は無料版は有料版(違法)に誘導するためのツールとして活用されている。有料版と無料版は同じ名称で、ネットで検索したら有料版が出てくる場合もある。つまり、無料版は有料版の「ダミー」となっているだけの可能性もありうるのだ。
現時点では無料版の広告は「違法」とは言えないとしても、脱法行為であることは間違いなく、大手のメディアが広告を出し続けてきたことは看過することはできないだろう。
■CMに出演したタレントにも責任はあるのか
SNS上では、元サッカー日本代表の吉田麻也さん、岡崎慎司さん、YouTuberラファエルさん、タレントの橋本マナミさんなど、オンラインカジノ(ただし無料版)の広告に出演した人たちに対する批判が集まっている。
出演者はどうしても目立ってしまうので、批判も集めやすい傾向がある。ただし、彼らの責任は限定的なのが実際のところだ。
仮想通貨取引所のコインチェックが、2018年に580億円相当の仮想通貨を流出させる事件が起きたが、お笑いタレントの出川哲朗さんが同社のCMに出演しており、批判を浴びた。
出川さんのイメージダウンはあったかもしれないが、出川さんが賠償責任を負うこともなければ、道義的な責任を問われることもなかった。
2022年には、暗号資産(仮想通貨)交換業大手FTXトレーディングの破綻に際し、大谷翔平選手と大坂なおみ選手を含む、グローバルアンバサダーを務めた多くの著名人が、投資家から提訴されるという事態が起きている。
ただ、本件についても、大谷選手、大坂選手らの責任が厳しく問われることはなかった。
■「出口」で取り締まり広告の健全化を
オンラインカジノ広告で最も責任を問われるのは、当然のことながら、オンラインカジノ事業者だ。ただ、彼らは海外に拠点を置いており、取り締まることは難しい。
そうであれば、広告を出稿するメディア、あるいは広告を仲介する広告会社側で取り締まりを強化する必要がある。入口で押さえられないのであれば、出口で押さえるというやり方だ。
ニッポン放送の声明文に「考査基準」という言葉があるが、簡単に言えば、考査とは、メディア側で広告が適正であるか否かを審査することを示している。
今回の場合、考査は行っているが、先例がない事案だったために、抜け穴が存在してしまったということになる。今後も、こうしたことは十分起きうるだろう。ニッポン放送の声明にあるように、各社が「考査基準をより厳格化」することはもちろんだが、異例の事態にも迅速かつ柔軟に対応できるよう、トレンドをリアルタイムで把握したり、広告に関しても視聴者の声を吸い上げたりする仕組みを作ることも重要だ。
大手のメディアは、報道はもちろん、広告も含めて、発信する情報には社会的な責任を負っている。意図しなかったこととは言え、人々の違法行為を助長させてしまったことは問題であったと言わざるを得ない。
加えて、芸能人やスポーツ選手は、メディアと共存共栄の関係にある。彼らがオンラインカジノに汚染されてしまうと、最終的にはメディアの利益も損なってしまう。
自らの利益確保という点からも、広告の健全化はメディアにとって喫緊の課題である。
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西山 守(にしやま・まもる)
マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授
1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。
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(マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授 西山 守)
]...以下引用元参照
引用元:https://news.nifty.com//article/magazine/12179-3861293/