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(渡辺えりさんとラサール石井さん(C)日刊ゲンダイ)
あす8日から下北沢・本多劇場で上演されるオフィス3〇〇連続上演「鯨よ!私の手に乗れ」「りぼん」で作・演出・出演を務める渡辺えりさん。出演者で本紙連載「東憤西笑」のラサール石井さんとは同じ1955年生まれ。同年代として、作品を貫く「女性の生き方と反戦」というテーマで対談を行った。(取材・構成=山田勝仁)
◇ ◇ ◇
──昨年起きた兵庫県知事選挙でのSNSをめぐるゴタゴタを見ていると、簡単にウソや捏造を信じる人たちがいて、フェイク社会の怖さを感じるのですが。
ラサール石井(以下石井)「私が子どもの頃の未来は明るく輝いていた。超ハッピーな世の中になると思っていたけど、最近の世相を見てると暗澹とした気持ちになります。ネット社会も善しあしで、小泉今日子さんやきゃりーぱみゅぱみゅさんが政治的なことをSNSで投稿すると『芸能人は政治に口を出すな』と炎上しちゃうし、私なんか常に炎上してますから(笑)。私が高校生の頃は、テレビに出てくるワイドショーのコメンテーターや評論家はすごい政権批判してたのに、今はちょっとしたことですぐ政府筋から抗議が来るから、『言論の自由』はどうなっちゃったのかと思います」
渡辺えり(以下渡辺)「ちょっと前まではテレビの討論番組はリベラル派と保守派の論客が半々でしたが、今は保守派ばかりになって、少しでも政府批判すると、すぐ叩かれてしまう。しかもスポンサー企業に抗議が殺到するので、テレビ局も及び腰でしょう。その点、演劇はまだ作家が自分の言いたいことを書く自由があります。築地小劇場以来、社会の矛盾を突いてきた新劇は今も一本芯が通っているし、最近では劇団チョコレートケーキ、長田育恵さんや瀬戸山美咲さんなどの若い世代の小劇団は、戦争や原発問題などをストレートに表現していますよね」
■ウソでも捏造でも“言ったもん勝ち”の世界
(ラサール石井さん(C)日刊ゲンダイ)
石井「たぶん、昔は政治家がテレビの力を軽く見ていたんじゃないかな。それが故・安倍晋三氏が首相になって以降、テレビを牛耳ることによって世論操作も簡単にできることがわかり、積極的に使って、ある程度成功した。それが今はテレビも時代遅れだとしてSNSに移行していったのではないでしょうか。
今、宇野常寛さんの著書『庭の話』という本を読んでいるんだけど、SNS上で承認を求めてタイムラインに流れる空気を読み、不確かな情報に踊らされて対立や分断を深めていくという『相互承認ゲーム』が現実を侵犯しているのではないか。つまり、それがウソだろうが根拠がなかろうが関係ない。『いいね』の数が多ければいいと……。“下層階級”の人たちは、ただゲームに参加しているだけで目的を達したと思い込み、“上層階級”の人たちは下層階級の人たちがゲームをしていることで潤うという2つのゲームが同時進行している世界。まるで再生回数で莫大な利益をあげるユーチューバーとユーザーの関係みたいです。昔はウソをついたり、事実を捏造したら、その人の社会的な生命は終わっていたのに、今はウソでも捏造でも『言ったもん勝ち』という世界。こんな社会になるとは思ってもみなかったです」
■今はSNSで『平和が大事』と訴えるとバッシングされる時代
(渡辺えりさん(C)日刊ゲンダイ)
渡辺「20年ほど前にネットの掲示板で、湾岸戦争について論争になりまして、『自衛隊の海外派遣に賛成で、自衛官が殉職するのは当たり前だ』と言う人と、じゃあ直接話しましょうということになって喫茶店で会ったことがあるんです。いかつい右翼だと思ったら電器屋の普通のおじさんで肩透かし。でも2時間話しても彼の考えは変わらなかった。昔は平和憲法を守るというのは私たちの常識だったから、そのおじさんは少数派だったけど、今はSNSで『平和が大事』と訴えるとバッシングされる時代。関東大震災で朝鮮人虐殺はなかったというのを信じ込む人たちが多くなったじゃないですか。まっとうな人たちが、かつての少数派に逆転されたんです。よく平和主義者は“お花畑”と揶揄されるけど、お花畑だって種をまき、水をやらなきゃ花は咲かない。あえてお花畑のどこが悪いのかと言いたくなります。演劇というのは“お花畑”をつくることじゃないのかな」
石井「保守派の論客といわれる人たちは、いかにうまく立ち回って現実と折り合いをつけるかに腐心しているように見えます。コストパフォーマンスもいいし、儲けも大きい。それを支持する人たちも、あんなふうに生きれば勝ち組になれるか、勝ち組の気分を味わえると思っているようだけど、僕が一番嫌いな言葉をあえて使えば『現実はそんなに甘いものじゃない』。コスパは悪いかもしれないけど私は、戦争なんかなくなって誰も死なない傷つかない世界という理想を持っている。もっとうまく立ち回れと言われても、それが自分の生き方ですからね」
■自立した女性の新「白雪姫」は断固支持します
(前回公演「りぼん」より(提供写真))
──不寛容社会、間違いを許さない社会になって、生きづらいように思います。
渡辺「昔と違って演劇界でも合理化、分業化が良しとされ、『それは私の専門外ですから』と投げ出さず、医者の『赤ひげ』のように、どんな病気やケガにもできるだけ向き合って人を助けるという感覚が、芝居にも必要だと思います。もちろん、セクハラ・パワハラは論外ですが、余白のある部分があるからこそ芝居は楽しいわけで、過度な自主規制はかえってギスギスするのではないかと思います」
石井「今年公開されるディズニー映画『白雪姫』が今、大炎上していて、予告動画を見ただけで否が6~7割。今の白雪姫は王子のキスで目覚める受け身の姫ではなく、女性として自立して、7人の小人を引き連れて王国を取り戻す話なんです。私からすればいくらなんでもそれは白雪姫じゃないだろう。女性解放やLGBTに配慮しすぎじゃないかと思うんですよ」
渡辺「私はディズニーが自立した『シンデレラ』を作った時、本当に感激しました。女性として留飲が下がったから、その自立する白雪姫も支持したいな。私たちは子どもの頃から、おとぎ話で、女性はこうあるべきだと押し付けられてきましたからね。女性は白馬に乗った王子さまが迎えに来てくれるというのをじっと待つ、みたいな。そんなおとぎ話に憧れたから、私なんかずっと王子さまを待っていて……。そうでなければ今ごろ、子ども5人くらいつくって普通のお母さんだったかもしれない(笑)。これからの若い人は男に頼らず自立していってほしいし、その意味で自立する白雪姫は断固支持します」
石井「金さえ儲かればいいという恥を知らない人が増えているのは悲しいですね。今のままでは絶望感しかないけど、それでもいつか若い世代によって揺り戻しが来ることを期待しています」
渡辺「2作品とも演劇を通して人生を見つめたものです。役者としてのラサールさんとは初めてのタッグで、ラサールさんのために新しく書いた役。空気感、存在感がすごくよくて人生観と今までの生き方がそのまま出ているのでさすがだなと思いました。そこもぜひ見てほしいと思います」
◆「鯨よ!私の手に乗れ」「りぼん」は19日まで下北沢・本多劇場。出演=木野花、三田和代、黒島結菜、北村岳子、広岡由里子、土屋良太、桑原裕子、深沢敦、宇梶剛士、室井滋ほか。
]...以下引用元参照
引用元:https://news.nifty.com//article/entame/showbizd/12136-3714877/