イラン最終手段“ホルムズ海峡の封鎖”日本に影響か…イランとイスラエルの応酬続く【報道ステーション】(2025年6月16日)
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イスラエル・テルアビブ。高層ビルが並ぶ街に警報の音が響きます。1000キロ以上かなたから飛ばされた弾道ミサイルと、それらを撃ち落とそうとするミサイルが、夜空に入り乱れています。
イスラエル全体で、死者は、24人に上っています。イランへの先制攻撃という選択が、自国に招いた結果です。
イランからの反撃は、北部の港湾都市・ハイファにも。
被害を受けた住宅には、愛国心を鼓舞するかのように、国旗が掲げられていました。
住民
「(Q.イランの攻撃をどう思う)何ができると? 私たちが決めたことじゃない。反撃しなければ、罪のない人々が犠牲になってしまう。政府には、激しい攻撃でハメネイ体制を排除してほしい。排除できれば、世界のためにもなります」
攻撃を受けた現場に、自ら赴いたネタニヤフ首相。イラン攻撃には意義があると持論を展開しました。
イスラエル ネタニヤフ首相
「イスラエル国民の皆さんは、おわかりでしょうが、私たちは、いま、存亡をかけた戦いの最中にいます。イランが核兵器を所有し、2万発のミサイルで我々の都市に向け、撃ったらどうなるか。脅威と殲滅に対する救国の戦争を始め、積極的に実行していきます」
イスラエルは、イランの核関連施設だけでなく、石油などインフラ施設にも攻撃を拡大させています。
イラン側の発表では、200人以上が死亡。死傷者の9割以上が、一般市民だとしています。
イスラエル軍報道官
「我々は、テヘラン上空の制空権を完全に獲得したと言えます。50機以上の戦闘機と航空機で、120基以上の地対地ミサイル発射設備を破壊しました。イラン政府が保有する3分の1に相当します」
イスラエルによる攻撃で、イランとの核協議が中止となったアメリカ。
協議中は、攻撃をやめるよう求めていた一方で、実際に始まると「素晴らしい」と発言するなど、トランプ大統領のスタンスは、はっきりしません。
アメリカ トランプ大統領
「(Q.両国の緊張緩和に向け何をする)取引の成立を望む。取引すべき時期が来ているが、最後まで戦わないといけないときもある。どうなるか見極める。(Q.ネタニヤフ首相とは対イランで同じ考えか)関係は良く、互いに大きな敬意を払っていると思う」
ただ、イスラエルが、イランの最高指導者・ハメネイ師の殺害計画を策定し、アメリカ側に伝えると、トランプ大統領が却下したと、欧米メディアが相次いで報じました。
ネタニヤフ首相は、目指すのがイランの体制転覆であることを隠しません。
イスラエル ネタニヤフ首相
「(Q.体制転覆が狙いの一つか)イランの体制は、弱体化していて、結果的にそうなりえる。彼らは、国民の支持を得ていない。国民の8割は、国民を殺害し、抑圧している体制を見限るはず」
攻撃を開始したときの演説でも、イラン国民に、こう訴えかけていました。
イスラエル ネタニヤフ首相(13日)
「これは、あなた方との戦いではない。46年間、抑圧し続けた政権との戦いだ。解放の日は近いと信じています。両民族の友情が、再び、芽吹くはずです」
イランからは、最終手段をちらつかせる声も上がっています。
イラン議会安保委員会 コサリ議員
「ホルムズ海峡の封鎖が検討されており、イランは断固として、最善の決定を下すだろう」
サウジアラビアなど産油国から世界へ原油を運ぶ要衝、ホルムズ海峡。
日本へ来るタンカーの8割がここを通るといわれ、封鎖されれば、日本にとっては死活問題となります。
◆報復合戦のなかで、イラン側が「ホルムズ海峡の封鎖を検討している」という話も出てきました。
ホルムズ海峡は、イランとオマーンに挟まれた海峡で、もっとも狭い場所で幅30キロあまり。中東で産出される原油の重要な輸送路になっています。1日に約100隻のタンカーと貨物船が、ホルムズ海峡を通過しています。
日本にとっても重要な場所です。
日本は、原油の輸入の9割以上を中東の国に依存しています。
今回の紛争をきっかけに、中東産原油の先物価格が急騰しました。石油情報センターによりますと、「この上がり方は、レギュラーガソリンでは1リットル=5円程度。早ければ今週末から来週にかけて徐々にガソリン価格が上がり始めるだろう」とみています。
過去にも、イランは、たびたびホルムズ海峡の封鎖を示唆してきました。
1980年代のイラン・イラク戦争では、イランがホルムズ海峡付近に機雷を撒いたため、一部、航路が危険な状況になりました。
◆ホルムズ海峡封鎖の可能性について、イラン情勢に詳しい慶應義塾大学の田中浩一郎教授に聞きました。
田中教授は「“完全な封鎖”は考えにくい。ただ、イスラエルが、イランのタンカーなどを攻撃した場合は、イランが報復としてイスラエルに関係した船舶を狙う可能性はある。そうなれば、他国の船舶が危険を回避するため、ホルムズ海峡が利用できなくなり“封鎖”に等しい状態になる」 とみています。
今後の状況については「現状としては、双方撃ち尽くすまで攻撃を続けるだろう。ただ、イランは保有するミサイルが被害を受けているため、同じペースでの撃ち合いが続けられるのは今週限りだろう。イスラエルはアメリカから武器支援を受けているため、今後は、一方的な展開になる可能性がある。しかし、意に沿わないイスラエルの行動にトランプ大統領が不満を持っていれば、追加の武器支援を絞って、自制を求めることも考えられる」と指摘します。 (C) CABLE NEWS NETWORK 2025
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